クリスマスハラスメント

 "クリスマスが今年もやってきた"

またこの刻がきたのだ。

竹内まりやがクリスマスという名の暴力を歌う季節が。

 

クリスマスの東京を雪が飾ることは殆どない。

しかしスケジュールが白紙のクリスマスを"ホワイトクリスマス"と呼んでいいのなら、僕は25年間連続ホワイトクリスマスである。

僕はクリスマス、非常にモテる。

…男に。

"こいつは予定がない"と認知されているから、電話が鳴り止まないのだ。

…男から。

 

鳴り響いた携帯電話で嫌な予感が胸をよぎるのは、修二と彰と俺くらい。

 毎年、孤独を叩きつけられてしまう。

 

しかし今年こそ、予定を作らねば!そう思い友人と契約を結んだ。

「互いにクリスマスイブに女性と予定を作る賭けをしよう、失敗した者はアンダーヘアを右半分剃った"ハーフ"な状態でピンクサロンに行くという罰をうけよう」と。

 こんな男子校生のようなクリスマスの楽しみ方を未だにやってしまう。罰ゲームあり気で走ってしまう。

すなわち最初から予定を作る努力をする気などないのだ。

 

 

ー12月24日。

もちろん今年も予定はなかった。

 

こうなると解って契約を結んだ感覚。

芸人が落とし穴に向かう感覚。

予定調和的感覚。

 

「しぶしぶ」浴室に向かった。

これは人生で初めて。毛を剃ると衝撃のアシンメトリーが生まれた。

 

ハーフパイパン

 

さて、街に繰り出す。

西葛西。サロンへ。

 

指名したのは、まりや(23)

そう、"クリスマスが今年もやってきた"のだ

 

ゴールドな髪、ブルーな瞳。ホワイトだった予定はピンクでブラック。ブルーな気持ち。

 

挨拶をして、軽く雑談をした。

 

まりやはスペイン人とオランダ人のハーフだという。

 

そう。

僕はズボンを下ろして、

まりやに告ぐ。

 

#MeToo

 

落とし穴に落ちる感覚。